アセットオーナー・プリンシプルの受け入れについて
日本税理士企業年金基金は、年金規約に規定した給付を将来にわたり確実に行うことを、加入者等の受益者(以下「受益者等」という。)の最善の利益として、年金資産を運用する責任(フィデューシャリー・デューティー)を果たしていく上で有用と考えられる「アセットオーナー・プリンシプル」(2024年8月28日内閣官房策定)の趣旨に賛同し、各原則の受け入れを表明します。
プリンシプルの各原則にかかる当基金の方針は以下の通りです。
| 原則1 | アセットオーナーは、受益者等の最善の利益を勘案し、何のために運用を行うのかという運用目的を定め、適切な手続に基づく意思決定の下、経済・金融環境等を踏まえつつ、運用目的に合った運用目標及び運用方針を定めるべきである。また、これらは状況変化に応じて適切に見直すべきである。 |
|---|
当基金は、受益者の長期的な利益最大化を目的とし、理事会及び代議員会の決定に基づき「運用の基本方針」を策定しています。また、基金の状況や環境変化に応じて、定期的に方針の見直しを行っています。
| 原則2 | 受益者等の最善の利益を追求する上では、アセットオーナーにおいて専門的知見に基づいて行動することが求められる。そこで、アセットオーナーは、原則1の運用目標・運用方針に照らして必要な人材確保などの体制整備を行い、その体制を適切に機能させるとともに、知見の補充・充実のために必要な場合には、外部知見の活用や外部委託を検討すべきである。 |
|---|
当基金は、資産運用に関する意思決定の透明性と健全性を確保するため、適切なガバナンス体制を構築しています。具体的には、資産運用委員会を設置し、以下の役割を担っています。
・運用の基本方針、運用ガイドライン、政策的資産構成割合の策定及び定期的な見直し
・運用受託機関の選定、評価及びモニタリング
・運用目標の達成状況の確認及び分析
また、専門的な知見の補充・充実を図るため、コンサルティング会社や運用受託機関等の外部機関から、定期的に報告・分析・助言を受けています。
| 原則3 | アセットオーナーは、運用目標の実現のため、運用方針に基づき、自己又は第三者ではなく受益者等の利益の観点から運用方法の選択を適切に行うほか、投資先の分散をはじめとするリスク管理を適切に行うべきである。特に、運用を金融機関等に委託する場合は、利益相反を適切に管理しつつ最適な運用委託先を選定するとともに、定期的な見直しを行うべきである。 |
|---|
当基金は、運用受託機関の選任において、以下の点を重視します。
・投資哲学、運用体制等に関する定性評価
・運用実績に関する定量評価
・運用受託機関が得意とする運用方法との整合性
・自己または第三者の利益を優先する利益相反行為の排除
資産運用にあたっては、リスク管理の観点から分散投資を徹底し、運用受託機関の運用実績を定期的に評価し、必要に応じて見直しを行います。
| 原則4 | アセットオーナーは、ステークホルダーへの説明責任を果たすため、運用状況についての情報提供(「見える化」)を行い、ステークホルダーとの対話に役立てるべきである。 |
|---|
当基金は、運用実績、資産配分、リスク指標等を可視化し、理事会、代議員会、資産運用委員会に定期的に報告・審議しています。
また、受益者等のステークホルダーに対しては、以下の手段で情報開示を行っています。
・ウェブサイトへの掲載(運用報告書、運用方針等)
・「基金だより」等による情報提供
| 原則5 | アセットオーナーは、受益者等のために運用目標の実現を図るに当たり、自ら又は運用委託先の行動を通じてスチュワードシップ活動を実施するなど、投資先企業の持続的成長に資するよう必要な工夫をすべきである。 |
|---|
当基金は、受益者の中長期的な利益最大化を最優先とし、スチュワードシップ活動を積極的に推進します。責任ある機関投資家として、「企業年金スチュワードシップ推進協議会」の正会員として他の年金基金と連携・協働し、運用機関のスチュワードシップ活動を適切にモニタリング・評価します。
また、協働モニタリングを通じて、運用機関のエンゲージメント戦略や議決権行使の状況を精査し、必要に応じて改善を求め、投資先企業の持続的な成長を促します。