企業年金基金は国の厚生年金の代行は行いません

厚生年金基金と、企業年金基金の一番の違いは、厚生年金の「給付代行」をするかしないかという点にあります。

厚生年金基金では、国の老齢厚生年金の報酬比例部分の運用を基金が代行して行っていました。経済が右肩上がりだった時代には、代行による運用益を基金独自の年金として上乗せすることができました。しかし、退職給付会計が導入され企業にとって、逆に代行していることが大きなリスクとなってきました。

このため、平成14年から確定給付企業年金法が施行され、国の年金を代行しない企業年金基金に移行できるようになりました。

代行返上と年金資産の返還

厚生年金基金では、厚生年金の報酬比例部分について、国に代わり掛金の収納から資産の運用、年金給付まで行っていましたが、これを国に返上することを「代行返上」といいます。

代行返上によって年金の支給義務は厚生年金基金から国に移りますので、従来積み立てられてきた年金資産（過去の加入期間に応じた代行部分の給付を行うために必要な責任準備金）を国に返還することになります。

このように代行部分の年金は国から支給されるようになりますが、支給額は代行返上前と変わりません。

また、厚生年金基金の上乗せ部分（加算部分とプラスアルファ部分）の支給義務と積立金は、それぞれDB年金と調整年金として企業年金基金に継承されることになります。