理事長再任挨拶(令和7年4月)
山口理事長再任ご挨拶
令和7年4月21日
第4月期の理事長に選出いただき、ありがとうございます。
理事長に就任してから、6年5か月となりました。この間、3年前に旧・東日本印刷関連企業年金基金との合併により、一定の規模拡大を実現することができました。
とはいえ、残念ながら合併後も加入事業所数、加入者数とも漸減(ぜんげん)傾向にありますことから、基金をこれまで以上に安定的に運営する観点からは、皆様のお力をお借りしながら更なる加入事業所の増加に努め、「基金の輪」を広げていく必要があると考えております。
また、数年前に世間をにぎわせました「老後2千万円問題」等をきっかけとした国民の関心の高まりや、最近の人手不足に対応する中で従業員は「人の財(たから)」、事業を継続していく上での貴重な財産であるとする意識が労使双方で高まってきたこともあり、公的年金と並ぶ老後資金の大きな柱である企業年金に対する加入者や事業主の皆さん方の期待も高まってきています。
デフレ経済の下、失われた30年と言われるなど、日本経済の成長力に往時ほどの勢いがみられない状況が長年続いておりましたが、足元ではインフレの進行により物価の高騰とともに、賃金が大きく引き上げられるなどの変化も見られます。
もしインフレが継続して行くのであれば、基金といたしましても、それに対応できるよう、企業年金の実質価値を維持する観点から、例えば給付増額を図り予定利率を引上げる必要はないかといった制度変更の実施の是非についてもいずれ皆様と一緒に議論させていただく必要があるのではないかと考えております。
一方、資金運用についても、かつてのように債券運用で高い収益を確保することは困難となり、株安局面で同時に債券も安くなるといった状況が珍しいものではなくなってきている中、どのような運用商品の組合せで、どの程度のリスクを取りながら運用するのが皆様の利益につながるのかといったことについても慎重に検討し、対応していくことが求められております。
このように基金を取り巻く状況は大変厳しいものがあります。これらの課題については、私や理事のみで対応できるものではなく、加入者や事業主の皆さんのお力添えをいただきながら、全ての基金関係者の皆様がいわばワンチームで取り組んでいく必要があるのだと思います。
将来の安心、老後生活の安定に貢献するという基金本来の目的に沿って、引き続き安定した運営に努めつつ、必要な見直し等を行うことで、より良い企業年金基金とすることができますよう、代議員の皆様のお知恵を拝借しながら全力で努めてまいりたいと存じますので、一層のご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げ、私からのご挨拶とさせていただきます。