2019年度資産運用
年金資産は、市場で運用され将来の年金給付に備えられます
- 年金給付に必要な財源は、掛金と積立金の長期運用による収益で賄われます。
- 基金では、みなさんから納めていただいた掛金を信託銀行や生命保険会社などを通じて市場で運用し、将来の年金給付に備えることにしています。
- 資産運用では、積立計画上、毎年一定の利回り3.0%(予定利率:2.5%+運用コスト:0.5%)で収益を上げることが前提となっています。実際の運用利回りが予定利率を下回った場合、積立計画に対して年金資産がその分不足します。
- 基金ではより主体的に取り組んでいくために、「年金資産運用の基本方針」に基づいて、資産の構成割合(政策アセットミックス)ならびに運用機関の選定を行っています。これにより、その時々の許容できるリスクと期待できるリターンを勘案しながら、安全で効率的な運用に努めています。
⇒年金資産運用の基本方針
年金資産の積み立てのイメージ
政策アセットミックス
2019年度の運用利回りは1.02%(時間加重収益率)となりました
- 2019年度のマーケットは、12月まで堅調な推移を見せていましたが、2020年1月に入りCovid-19の感染拡大などの影響から3月にかけてマーケットは大幅に下落しました。
- 当基金においては、12月までに獲得した収益を確保するため、1月初旬に株式オプションに取り組んだこともあり、2月・3月のマーケット下落の影響を一定程度抑制することができました。結果、年度を通じて若干ではありますがプラスを確保し、+1.02%で年度を終了しています。当基金の期待収益率である3%には、残念ながら届きませんでした。
- 2019年度末時点での年金資産運用の構成割合は、オルタナティブへの投資がまだ進んでおらず、その分債券への配分がやや高めとなっていますが、概ね政策アセットミックスに準じた構成割合となっています。
| 2019年度 | 2018年度 | ||
|---|---|---|---|
| 国内 | 債券(NOMURA-BPI) | -0.18% | 1.89% |
| 株式(TOPIX+配当) | -9.50% | -5.04% | |
| 外国 | 債券(FTSE-WGBI) | 4.37% | 2.46% |
| 株式(MSCI、円換算後) | -12.42% | 10.14% | |
| 運用機関 | 期末資産額 | 委託割合 | 総合収益 | 修正総合利回り |
|---|---|---|---|---|
| 信託銀行 | 43,150 | 46.79 | 3,073 | 7.83 |
| 生命保険会社 | 0 | 0.00 | 17 | 0.25 |
| 投資顧問会社 | 49,072 | 53.21 | 130 | 0.26 |
| 合計 | 92,222 | 100.00 | 3,220 | 3.37 |
| グローバル債券・一般勘定 | 国内株式 | 外国株式 | オルタナティブ | マルチアセット |
|---|---|---|---|---|
| 46.0 | 6.1 | 5.9 | 11.1 | 30.9 |
<用語解説>
- 時間加重収益率
- 運用機関の運用能力評価のために、運用期間中の事業主および基金の掛金や給付による資金の増減といったキャッシュ・フローの影響を除いて算出する収益率。算出方法には厳密法のほか、簡便法として内部収益率リンク法に基づく修正ディーツ法、修正BAI法などがある。
- 修正総合利回り
- 年金資産の運用成果の基準の一つ。従来の簿価ベースの平均残高(平残)利回りに時価の概念を導入し、総合利回りよりもさらに時価をベースとした収益率。
分母の平均残高に前期末の未収収益と評価損益を加えることで、時価ベースの収益率に近くなるように修正された利回りの算出方法で、時価ベースの資産価値の変化を把握できる。なお、修正総合利回りはキャッシュ・フローの影響を排除できないため、運用機関の評価には適さない。
■算出式(修正総合利回り)
2019年度の資産運用委員会
- アステラス企業年金基金では、理事長・運用執行理事の他に、選定・互選代議員から各2名の委員と経営推進部オブザーバーとコンサルティング会社のメンバーを加えて、合計8名で資産運用委員会を開催しています。資産運用委員会では、資産運用に係る方針策定・運用ファンドの選定など、委員会メンバーが議論・検討し、理事会あるいは代議員会での議決を経て企業年金基金の資産運用の方針・対応を決定しています。
- 資産運用委員会では、基金全体の運用状況・資産残高推移、個別ファンドの運用状況などを共有し、マーケット環境分析に基づくポートフォリオ全体の見直しや個別ファンドの運用状況分析に基づく見直しなど、時々の状況を踏まえて対応を決定しています。
- 2019年度は、5月27日、8月21日、11月20日、2月7日の計4回開催し、安定収益を確保する目的からアンコンストレインド債券の一部を先進国国債入替戦略への入れ替え、国内プライベートエクイティ・ファンドオブファンズの採用、海外不動産・ファンドオブファンズの採用を決定しました。また、今後の安定収益確保の観点から、オルタナティブへの投資枠を、従来の12%から15%へと拡大し、グローバル債券を44%から41%に引き下げることを決定しました。
2019年度のスチュワードシップ・コードへの対応状況
- コーポレートガバナンス改革を「形式」から「実質」へ深化させるために、日本版スチュワードシップ・コードが改訂され、原則1で「スチュワード責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべき」とされました。また、企業年金基金に対する厚生労働省ガイドラインでは「日本版スチュワードシップ・コードの受け入れや取組みの状況、ESG(環境・社会・ガバナンス)に対する考え方を運用受託機関の選任・評価の際の定性評価項目とすることを検討することが望ましい」とされました。
- アステラス企業年金基金の年金資産運用では、運用受託機関への委託運用のみ実施しており、スチュワードシップ・コードを踏まえた活動は運用受託機関に委ねることとなります。このため、年金基金としては、スチュワードシップ・コードにより求められる各原則に関する基金としての考え方を整理し、コードに基づく活動を運用受託機関に対して求めることとしました。
- 現状、スチュワードシップ・コードの受け入れ表明をしている基金は少数であること。スチュワードシップ・コードの今後の改訂などにより、どの程度基金の体制強化を求められるかなど不透明な点も多いことから、運用受託機関の後押しすることを中心に活動するものの、スチュワードシップ・コードの受け入れ表明自体は当面見送ることとしています。
- 2017年度から、運用受託機関を後押しする活動として、国内株式の運用受託機関のスチュワードシップ・コードに対する取組方針や利益相反への対応、議決権行使の状況などの確認を行い、運用受託機関の活動状況を確認するとともに、継続的な取り組み要請を行っています。
- 国内株式運用受託機関のスチュワードシップ・コード対応状況については、添付資料を参照ください。
⇒添付資料:日本株式運用受託機関のスチュワードシップコードへの対応状況