2011年度資産運用
年金資産は、市場で運用され将来の年金給付に備えられます
- 年金給付に必要な財源は、掛金と積立金の長期運用による収益で賄われます。
- 基金では、みなさんから納めていただいた掛金を信託銀行や生命保険会社などを通じて市場で運用し、将来の年金給付に備えることにしています。
- 資産運用では、積立計画上、毎年一定の利回り3.0%(予定利率:2.5%+運用コスト:0.5%)で収益を上げることが前提となっています。実際の運用利回りが予定利率を下回った場合、積立計画に対して年金資産がその分不足します。
- 基金ではより主体的に取り組んでいくために、「年金資産運用の基本方針」に基づいて、資産の構成割合(政策アセットミックス)ならびに運用機関の選定を行っています。これにより、その時々の許容できるリスクと期待できるリターンを勘案しながら、安全で効率的な運用に努めています。
⇒年金資産運用の基本方針
年金資産の積み立てのイメージ
政策アセットミックス
2011年度の運用利回りは1.57%(時間加重収益率)となりました
- 2011年度の運用環境を見ると、国内外の株式市場では欧州債務危機の再燃や東日本大震災の影響を受けて下落傾向が続きましたが、米国の雇用統計等の改善を機に世界経済の持ち直し期待感が広がり、年度末にかけて回復基調となりました。また、過去にも類を見ない円高となりましたが、米国の経済指標の好転や先進国の金融緩和を受けて円安に反転し、欧米を中心に債券の利回りが上昇しました。
- こうしたなか当基金の運用状況を見ると、第4四半期では6.54%と高い収益率を確保したものの、第1四半期で▲0.17%、第2四半期で▲4.98%、第3四半期で0.51%と低調だったため、通期では1.57%(時間加重収益率)となりました。
- この結果は、第4四半期に入るまで株価が低迷していたことによるものです。しかし、それまでも株式や債券といった伝統的資産以外の資産であるオルタナティブ(ヘッジファンド)が好調に推移し、収益率の低下の歯止めに寄与しました。
| 2011年度 | 2010年度 | ||
|---|---|---|---|
| 国内 | 債券(NOMURA-BPI) | 2.94% | 1.81% |
| 株式(TOPIX+配当) | 0.59% | ▲9.23% | |
| 外国 | 債券(CGWGBI、円換算後) | 4.99% | ▲7.54% |
| 株式(MSCI、円換算後) | 0.50% | 2.41% | |
| 運用機関 | 期末資産額 | 委託割合 | 総合収益 | 総合修正利回り |
|---|---|---|---|---|
| 信託銀行 | 44,281 | 52.37 | ▲31 | 0.22 |
| 生命保険会社 | 9,291 | 10.99 | 128 | 1.37 |
| 投資顧問会社 | 30,978 | 36.64 | 1,184 | 3.79 |
| 合計 | 84,550 | 100.0 | 1,281 | 1.59 |
<用語解説>
- 時間加重収益率
- 運用機関の運用能力評価のために、運用期間中の事業主および基金の掛金や給付による資金の増減といったキャッシュ・フローの影響を除いて算出する収益率。算出方法には厳密法のほか、簡便法として内部収益率リンク法に基づく修正ディーツ法、修正BAI法などがある。
- 修正総合利回り
- 年金資産の運用成果の基準の一つ。従来の簿価ベースの平均残高(平残)利回りに時価の概念を導入し、総合利回りよりもさらに時価をベースとした収益率。
分母の平均残高に前期末の未収収益と評価損益を加えることで、時価ベースの収益率に近くなるように修正された利回りの算出方法で、時価ベースの資産価値の変化を把握できる。なお、修正総合利回りはキャッシュ・フローの影響を排除できないため、運用機関の評価には適さない。
■算出式(修正総合利回り)